導入事例:りんごプロジェクト様

マンパワーの部分で難しかったことができるようになり、情報発信がしやすくなりました

りんごプロジェクト別ウィンドウで開きます様は、障害がある子どもの読書体験を支援するプロジェクトです。教育機関や図書館などでの勉強会を通じて、障害にあわせてさまざまなツールを使うことで、読書バリアフリー(誰でも本を読むことができること)を広めています。

2024年11月からホームページにて「伝えるウェブ」をお試しいただいています。

今回は、特別支援学校で働きながらプロジェクトに携わっている大島様にお話を伺いました。

りんごプロジェクトのウェブサイト

りんごプロジェクトについて詳しく教えてください。

りんごプロジェクトは、読書バリアフリーを広げ、誰もが読書を楽しめる社会を目指すプロジェクトです。教育機関や図書館などでの体験会を通じて、バリアフリー図書を実際に体験し、自分に合った読書方法を知ることや、さまざまな読み方があることを伝える活動をしています。私は教員ですが、図書館司書や障害のある子どもの保護者、学校や地域で子どもを支えるコーディネーターや福祉施設の職員など、多様なメンバーといっしょに活動しています。

手でめくったり文字を読まなくても楽しめる読書には、例えばどのようなものがあるのですか。

例えば、「ぬのえほん」という本があります。文字どおり布でできた絵本ですが、文字を読むことにこだわらず読書そのものに興味を持ってもらえる本です。布の手触りから得られる感覚も読書体験の1つと考えます。また、読書を補助する工夫がされた「点字図書」や「拡大図書」、「音声デイジー」(視覚障害者等が本の内容を音声で聞くことができるもの) 、「LLブック」(やさしく分かりやすいことばで書かれた本。写真やピクトグラムを使ってさらに分かりやすくなっている)などがあります。こういったものがあることを知ってもらうために、図書館や教育機関向けに出前講座もしています。最近は小学校の総合学習や高校の探究型授業でもテーマとして扱っていただくことが増えてきています。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけを教えてください。

そもそものきっかけはプロジェクトの共同代表からの紹介です。東京都文京区のウェブサイトにやさしい日本語に変換するボタンがついていることを教えてもらいました。その時に「伝えるウェブ」のサービスがあることを知ったのですが、数週間後に参加した「未来の先生フォーラム」別ウィンドウで開きますというイベントで「伝えるウェブ」の展示を見つけました。そこで詳しくサービスを知りました。

「伝えるウェブ」の利用を決めた理由を教えてください。

共同代表と実際のウェブサイトの変換を見て、「よみやすさ」「わかりやすさ」が確認できたので、サービスを利用することにしました。

やさしい日本語での情報発信について反響はございましたか。

トップページにやさしい日本語言い換えの機能を利用して、「知りたい情報がわかりやすくなった」という感想をいただきました。りんごプロジェクトのウェブサイトは、私がひとりで管理しています。読書に関する情報をかんたんな言葉に書き換えたり、ルビを付けたりして伝えたいと考えていましたが、マンパワーの部分で難しくなかなか実現できずにいたので、情報が発信しやすくなり助かっています。

特別支援学校の現場でも「やさしい日本語エディタ」別ウィンドウで開きますの機能をお試しいただいていますが、どのようにお使いですか。

配布物の文章をやさしい日本語にしたり、ルビ振りしたりするのに使っています。特別支援学校にも外国にルーツのある児童生徒はいるので、日本語が伝わりにくい保護者向けの連絡に利用しています。保護者の方からは「文章にふりがなを必ずつけてほしい」という要望があるので、ルビ振りの作業に使うことが多いです。

保護者への連絡は、近年は Google Classroom の「ストリーム」にテキストを投稿する形で行っています。保護者向けの難しい通知文を送る際に、「やさしい日本語エディタ」を利用し、情報を補足する文章を準備して対応しています。「やさしい日本語エディタ」で生成されたテキストは、そのまま Google Classroom のストリームに貼り付けることができるので便利です。

児童生徒向けにはワークシートの作成で利用しています。高等部の数学と情報、総合的な探究の時間の授業を担当していますが、高校数学は計算問題が多く、ルビ振りの必要がないためあまり活用できていません。中学校までの文章問題であれば、ルビ振りなどはより活用できるように思います。情報や総合的な探究の時間の授業では、利用しやすいと感じています。

「伝えるウェブ」の改善点・要望等がありましたら教えてください。

PDF のテキストを読み取って、やさしい日本語に書き換えたテキストデータやルビ振りのされたデータが生成されるサービスができると実務上便利だと思います。

また、元の文章をやさしい日本語に変換したあとで、出てきた言葉の意味をさらに調べることができるといいなと思います。子どもたち向けに、自分でウェブサイトで調べた言葉をやさしい日本語でいつでも確認できる辞書のような機能が用意されていると自律的な学習にも役立つと思います。

皆様の今後の展望・課題がありましたら教えてください。

現在のウェブサイトにプラスして、 X や note などの SNS での発信を考えているので、そこでは「やさしい日本語エディタ」を使って発信できたらいいなと思っています。やさしい日本語で情報を発信することで、自分たちのプロジェクトの取り組みを多くの方に知っていただけたらいいなと思っています。

りんごプロジェクトのみなさん
りんごプロジェクト
  • 大島様(写真右から2人目)