導入事例:公益財団法人札幌国際プラザ様

外国人住民が必要とする情報を、やさしい日本語でタイムリーに届けていきたい

公益財団法人札幌国際プラザ 別ウィンドウで開きます は、国際都市札幌の実現をめざして、市民の国際交流のサポート、外国人の生活サポートをはじめとし、国際会議やイベントの支援、多文化共生のための人材育成など幅広い活動を行っています。

その活動のひとつとして2021年3月、札幌に住む外国人向けに生活に必要な情報を集めた多言語のウェブサイト「さっぽろ外国人相談窓口 別ウィンドウで開きます 」を公開。 この中の「やさしい日本語」のコンテンツ作成に伝えるウェブの「やさしい日本語エディタ」を活用いただいています。
今回は、多文化交流部の岡部様と本間様に Zoom を利用してお話を伺いました。

さっぽろ外国人相談窓口トップページ

やさしい日本語への取り組みを始めたきっかけを教えてください。

最近はコロナ禍で停滞していますが、札幌市でも毎年1000人くらいずつ外国人住民が増え続けていました。
以前から市民やボランティア向けにやさしい日本語のセミナーなどは実施していましたが、2013年に札幌市と「災害多言語支援センター設置・運営に関する協定」を締結したことをきっかけに、やさしい日本語の重要性を再認識しました。
とはいえ、それ以降も私たちが体系的にやさしい日本語を学ぶ機会はあまりなく、本格的に講師の方にお越しいただきしっかりと学ぶことができたのは最近のことです。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけや導入の決め手は何でしたか?

札幌国際プラザでは、2019年11月から札幌市の委託によりさっぽろ外国人相談窓口を運営しています。2020年に札幌市から外国人住民向けの生活情報をまとめたページを作ってほしいという依頼がありました。もちろん、多言語展開する前提ですが、その中の言語のひとつとしてやさしい日本語があったほうがいいねという話になりました。

ちょうど同じ頃、たまたま職員が「やさしい日本語」について調べているときに、足立区さんに導入されている事例を見つけたことが伝えるウェブを知るきっかけとなりました。

どうやってやさしい日本語のページを作ろうかと検討していく中で、伝えるウェブについて問い合わせたり、デモを実施してもらったりしました。自動言い換えではなく、自分たちの言葉で言い換えしたページを作りたいと考えていたので、やさしい日本語エディタで作成した「ふりがな付きの文章をHTMLとしてコピーできる」のを見てこれだ!と思いました。

やさしい日本語エディタの使い勝手はいかがでしょうか?

ルビをつける手段はいろいろありますが、やさしい日本語に自動で言い換えることができる機能は他にはないので、やさしい日本語エディタはかなり活用しています。このボリュームを自分たちだけで訳すのは大変だったと思うので、本当に助かりました。
中でも難易度を確認できる機能が便利で、「この表現だとまだ難しい」ということがわかるようになっていて、とても参考になりました。

さっぽろ外国人相談窓口やさしい日本語のページ

このウェブサイトでは、やさしい日本語への自動言い換えは使わず、すべて自分たちの手でやさしい日本語の文章を作成しています。外国人住民のための情報に特化したウェブサイトなので、誤った情報を出すわけにいかないというのもありますが、単に日本語の文章をそのまま言い換えるだけでは説明が足りない部分がある、というのが大きな理由です。

これは、英語や中国語の自動翻訳でも同じことが言えます。今回、英語・中国語・韓国語・ベトナム語は翻訳会社にお願いしましたが、やさしい日本語については、やさしい日本語エディタを活用して自分たちの手で作成しました。

※やさしい日本語エディタで作成した文章は、HTMLを生成できるためウェブサイトにそのまま掲載することができます。他にも、ふりがな付きのまま Microsoft Word へのコピー&ペーストができたり、画像やPDFの生成も可能です。詳しくは、「やさしい日本語エディタで情報発信を強力サポート!」をご覧ください。

札幌多言語ニュースレターについて教えてください。

札幌多言語ニュースレター日本語のページ

札幌多言語ニュースレター
https://www.sapporolife.info/newsletter/ 別ウィンドウで開きます

日本語・英語・中国語・韓国語の4言語で、札幌市からのお知らせやくらしの情報などをテキストメールで配信しています。

日本語版のメールについてはHTMLメールにしてルビをつけることも検討していますが、それにかかる手間やコストを考えるとなかなか実施に踏み切れていません。配信しているメールの内容はウェブサイトにも載せているので、こちらに伝えるウェブのふりがなボタンをつけて、文章にルビをつけることができるようにしました。

やさしい日本語ボタンがないのは先にお話したのと同じ理由ですが、なるべく元の文章をわかりやすくするように心がけています。

やさしい日本語への言い換え作業の難しさはどういうところでしょうか?

まずは、やさしい日本語エディタでやさしい日本語に言い換えてみて、おかしいところは修正し、足りない部分は追加して、ひとつひとつ文章を整えていきました。
制度や仕組みの説明や、習慣などの差異についても配慮して説明を加えています。

エディタのおかげで作業自体はかなり助けられましたが、特に行政用語は漢字ばかりの単語がたくさんあり、元の用語を言い換えすぎてしまうと何のことを言っているのかわかりにくくなってしまう。その匙加減は難しいと思いました。
伝えるウェブの辞書機能に括弧内に補足を追加するものがありますが、これも入れすぎると文章の流れが崩れるので手作業で調整しました。

やさしい日本語での情報発信について反響はありましたか?体制や運用はどのようにされていますか?

やさしい日本語ページについて利用者の声はまだ聞けていないのですが、外国人のスタッフにも見てもらい「初級から中級レベルの人にも伝わる内容」とコメントをもらいました。

新型コロナウイルスの情報やニュースなどは、職員がそれぞれの担当する範囲で必要な情報を精査して更新作業をしています。やさしい日本語だけでなく、内部に外国人のスタッフもいますし、更新分については各言語も自分たちで翻訳しています。

今後の展望・課題がありましたら教えてください。

やさしい日本語については、まだ難しい表現が残っていて十分に言い換えできていない部分もあるので、外国人スタッフにも意見を聞きながら改善していきたいと思っています。これが完成版ではなく、日々アップデートしていきたいですね。

あとは、スピード感をもって情報を届けられるようにしたいと思っています。なかなか難しいですが、日本人に届くのと同じスピード感で、外国人にも届けていくのが目標です。タイムリーに届けるためには自動言い換えを使うのもひとつの手段ですが、細かいところを自分たちで調整したいという気持ちもあるので、そのあたりは何を優先するか今後検討していきたいと思います。
外国人住民が必要とする情報を多くの人に見てもらえるような情報発信、取り組みを続けていきたいです。

写真:岡部様と本間様
公益財団法人札幌国際プラザ
  • (左)多文化交流部 相談支援課 岡部様
  • (右)多文化交流部 推進課 本間様

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