チームみらいでは、かねてよりアクセシビリティの向上を重要なテーマとして捉えています。選挙公報の音声読み上げ対応もそのひとつで、きちんと対応したいと考えていました。
2025年の参議院議員選挙を前に、セミナー(※)に参加させていただきましたが、その時点では、導入には至りませんでした。当時、専任スタッフを配置していたわけでなく、それぞれのスタッフが複数の役割を持ちながら動いていたため、準備にじゅうぶんな時間がとれなかった面もあります
2026年の衆議院議員総選挙では、実現に向けて、改めて着手しましたが、課題も浮き彫りになりました。「うまく構造化データにできない」「うまく読み上げてくれない」「読み上げに対応させようとするとPDF表示が崩れる」などの問題です。そこで、プロの方にお願いしようと考えた次第です。
今回は短期間で対応いただきました。ありがとうございました。
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アルファサードで対応を行った音声読み上げに対応した選挙公報PDF(Adobe Acrobat)
※ チームみらいのスタッフが昨年6月と今年の1月に行われたウェビナー「選挙公報の音声読み上げ対応PDFの本当の作り方教えます」に参加されていました。
選挙公報のPDFというものは、現状では、そもそも音声読み上げを前提としているわけではありません。データがきちんと構造化されていないケースが多く、読み上げソフト(リーダー)によっては、指定した読み上げ順を無視してしまうと聞いています。
何らかの障害があるために、現在の選挙公報では十分な情報にアクセスできない有権者がいらっしゃることは非常に大きな問題だと考えており、情報保障は非常に重要であると考えています。一方、情報保障のためには、一定の工数と費用がかかる現状があります。
また、システム上の仕様(PDF読み上げのための設定方法など)まで各候補者が十分に熟知していくことも、現実的にはハードルが高いのではないでしょうか。
選挙公報は現在、原稿用紙または画像としての提出になっていますが、今後、テキストデータでの提出が認められるようになれば、候補者の工数も軽減できるだけでなく、選挙公報読み上げの対応もスムーズになり、結果としてアクセシビリティの向上につながるのではないでしょうか。ルール側が何らか変化していくことが望ましいのではないかと考えています。
前提となる考え方は同様です。テキスト版があることで、アクセシビリティが改善する側面はあると思っています。その上で、個人的に難しいと思うのは、音声読み上げ掲載申請が任意になっている点です。
その結果として、本当に必要としている方に届けられるかどうかについて、自治体ごと・候補者ごとにも差が生じてしまうのが現状ではないかと思っています。候補者の申請コストを下げたうえで、多くの方に届くようなやり方を検討することが望ましいと考えています。
知的障害のある方や日本語が得意ではない方に向けては「やさしい日本語」の取り組みを広げるべきだなと思っています。
例えば私たちで言いますと「みらい議会 アイコン別ウィンドウで開きます」というプロダクトを作っています。国会でどんな法案が検討されているのか、わかりやすく伝えるためのサイトなのですが、サイト上のボタンを押すことで、法律用語や専門的な説明を平易な表現に切り替えて読むことができます。
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AIの活用によって、「やさしい日本語」で情報提供することも、テキストデータがあればハードルが下がってきていると捉えています。こういった取り組みを進めていければと考えています。
「やさしい日本語」については御社の取り組み事例も拝見しました。
また、今回私は、滝乃川学園(※)さんの「選挙のおはなしを聞く会」に参加させていただきました。その際、改めて感じたことは、選挙に合わせて党の紹介や公約を伝えるという行為だけでなく、そもそも選挙や政治という抽象的な概念をどのように伝えていくかということの重要性です。
知的障害のある方や支援を受けている方、外国人の方に対して、選挙の際に公報を正しく伝えるという取り組みはもちろんですが、選挙という仕組み、あるいは政治というものが身近な生活とどのようにつながっているのか、実感いただけるような機会を作ることが重要です。
※ 滝乃川学園では、知的障害者が自分の意思で投票権を行使できるよう、選挙の立候補者を招いた「聞く会」の開催や、投票方法を学ぶ支援に積極的に取り組んでいます。
衆議院と参議院や、比例代表と小選挙区でレギュレーションが違う(※1)問題もあります。持ち込み形式なのか、スタジオ収録なのかによってもルールが違います。
私が候補者として感じたのは、持ち込み形式の政見放送の収録時に、手話通訳士(※2)の方を手配するのが難しいということ。公費負担があったとしても、物理的な手配には、さまざまなハードルがあるということです。今回の衆院選では、準備期間が短かったこともあり、思いがありながらも対応できなかった候補者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
※1 衆院選小選挙区のスタジオ収録では手話がつけられません。また、衆院・参院ともにスタジオ収録では字幕がつきません。
※2 政見放送の手話を担当できるのは、厚生労働大臣認定の「手話通訳士」資格を持つ人で「政見放送従事者研修会」を受講している必要があります。
AIを使って文字起こしなどを自動化する方法は確かにありますが、現状ではまだ修正が必要になります。街頭演説などリアルタイムのものからではなく、演説会や政見放送など、機材を揃えやすい環境から、AIなどを活用した字幕化に取り組むのが現実的と考えています。一方、街頭演説にはディスプレイは持ち込めないといった、制度上の問題も考えていかなくてはいけないと思います。
マイク納め(最後の街頭演説)の際、手話通訳の方に一緒に立っていただく取り組みを、前回の参院選では河合個人が行いましたが、今回の衆院選では、当党の全候補者でさせていただきました。
街頭演説でも貴社にご協力をお願いしたいと考えていましたが、場所や時間が直前に決まることが多々あるため、あらかじめお時間と場所をお伝えすることが難しかったです。手話通訳の方に実際に来ていただいたとしても、暗かったり遠かったりして、本当に届いているのかという別の難しさがあります。また、聴覚障害のない方であっても、演説の場所によっては、周囲の環境音と被ってしまって聞きにくいという問題もあります。そういった、さらに一段先の「伝える」難しさを感じました。
とても力を入れて取り組んでおられると感じます。ただ、ボランティアや無報酬だけでは長続きしない面もあるのではないでしょうか。
候補者の立場としては、アクセシビリティとして何を担保すべきかということについての正しい知識を得ることに難しさを感じます。たまたま障害のある方などが身近にいて知っていれば対応が可能でも、多様な方を想定して全てをカバーするのは難しい。個々人がそれぞれ学ぶのは難しい面もあるので、選挙にあたってアクセシビリティで配慮すべき点ををまとめる動きがあるとすごくいいなと思います。その上で選管、国などが何らかのガイドラインを整備して、候補者の負担をできるだけ少ない方法で提供するようなことが必要だと思います。
状況が許す限り、これまでやってきたこと(PDFの音声読み上げ対応や手話通訳など)は継続していきたいと考えています。また、テキスト版の提供や「やさしい日本語」の活用にも挑戦したいと考えています。
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