導入事例:佐賀県鳥栖市様

多文化共生への取り組みの一環として、伝えるウェブを活用しています

佐賀県鳥栖市別ウィンドウで開きます は、佐賀県の東端に位置し、九州の中で交通の要衝として発展してきました。九州の南北を走る九州縦貫自動車道と東西を走る九州横断自動車道が交差し、また鉄道においても博多・鹿児島方面への九州新幹線と在来線である鹿児島本線・長崎本線が通っていて、九州の交流拠点となっています。
鳥栖市が誕生してからずっと人口が増え続けているのも大きな特徴です。サガン鳥栖、久光スプリングスのホームタウンとしても知られています。

2021年2月、市のホームページリニューアルに合わせて、佐賀県内では初めて「伝えるウェブ」を導入いただきました。
今回は、鳥栖市のやさしい日本語への取り組みや伝えるウェブ導入について、情報政策課の高島様と市民協働推進課の堤様に Zoom を利用してお話を伺いました。

鳥栖市トップページ

やさしい日本語への取り組みを始めたきっかけを教えてください。

留学生や技能実習生を中心に、佐賀県の中で外国人の人口比率が一番高いのが鳥栖市です。
ですが、平成26年度に留学生に生卵等を投げつける事件がありました。当時は、外国人に対する理解が乏しく、交流する場もありませんでした。これ以降、市では多文化共生に力を入れていくことになりました。

その取組みのひとつが、やさしい日本語です。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけや導入の決め手は何でしたか?

最初は、日本語教育関係の会議等の資料で知りました。
以前から外国人向けの情報をホームページに掲載してはいましたが、市のホームページのリニューアルに合わせて、伝えるウェブを入れようと市民協働推進課から情報政策課へ要望しました。導入事例のページを見て飯塚市さんにも連絡し、話を聞かせていただきました。

他市のホームページにあるやさしい日本語のページを見たりして検討しましたが、言い換え機能以外にも読み上げ機能があるのがよかったです。音声の読み上げは外国人だけではなく、高齢者、ケガや病気で一時的に音声での情報収集が必要になった人にも使ってもらえるのではないかと考えています。あとは費用面も決め手になりました。

やさしい日本語での情報発信について反響はありましたか?

外国人に直接は聞けていないのですが、日本語教育の関係者、国際交流に携わる方からは「素晴らしい取り組み」と評価いただいています。

また、ホームページリニューアルのプレスリリースを配信したのですが、県内初導入というのもあってかやさしい日本語言い換え機能への反応が非常によく、いくつかのテレビ局や新聞等に取り上げていただきました。避難の情報を「逃げるための情報」と言い換えたりする部分など、特に災害関連に興味を持ってもらったようです。

NHK佐賀放送局の取材では、記者が日本語学校に行き、留学生に画面を見せて感想を聞いてくれました。留学生は「読みやすくなった」といったコメントを寄せてくれていて、それが放送されました。

外国人向けのページについて教えてください。

鳥栖市 がいこくじんのかたへ(外国人の方へ)

鳥栖市ホームページ - がいこくじんむけのサイトです
https://www.city.tosu.lg.jp/site/international/別ウィンドウで開きます

ホームページリニューアル前はバラバラに存在していた外国人が暮らすうえで必要な情報を集合させたミニサイトです。以前のホームページにあったページに新型コロナウイルスのワクチン接種など新しい情報を足し、やさしい日本語に言い換え後のページへリンクするようにしています。

以前は本文にも括弧書き()でふりがなをつけていましたが、今は伝えるウェブで自動的につけられるようになり読みやすくなりました。今もメニューだけは()でふりがなをつけていますが、これは、言い換え前でも読めるようにするための配慮です。

使い勝手はいかがですか。誤変換もあると思いますが、どうお感じでしょうか。

カスタム辞書は人名や地名等の固有名詞を中心に登録しています。
やさしい日本語エディタについては、主に外国人向けの文章を入れてみてやさしい日本語になっているかどうかを確認するのに使っています。システム自体はシンプルでわかりやすいです。余分なものがなくていいですね。

誤変換については、「○○の方(かた)へ」が「の方(ほう)へ」になってしまうケースは特に目に付きます。システムでの変換が難しい部分だと思いますので、そもそも不要な場合はもとの文章から「の方へ」を消すようにして簡潔な文章となるよう心がけています。

先ほどの外国人向けのページは、もともと外国人向けにわかりやすい言葉で書いてある文章なので、伝えるウェブで言い換え後もかなり自然な文章になっています。シンプルな文章ほど誰にとってもわかりやすくなりますが、税金や保険関連など日本人にも難しいような文章については、まだまだ言い換えがうまくいっていないと感じる部分はあります。

やさしい日本語での情報発信について、体制や運用はどのようにされていますか?

ホームページについては情報政策課と一緒にやりますが、基本的には市民協働推進課が中心になり、イベントやチラシ等の作成などを行っています。たとえば、定額給付金等の案内を送るようなケースでは、案内文に外国人向けのQRコードを掲載しやさしい日本語で作られたホームページに誘導したりしています。

ふりがな・やさしい日本語によって、外国人だけでなく日本人にも読みやすくなります。さらに、高齢者・子ども・障害者にも伝わりやすくなると感じていますので、これからは伝えるウェブも活用していこうと思います。

今後の展望・課題がありましたら教えてください。

ホームページのなかにはまだまだ行政用語が多かったり、一文が長かったりするページがあります。そのようなページはおそらく、Google翻訳サービスなどの他言語への翻訳も難しいのではないかと思いますので、わかりやすい文章の書き方については周知していきたいです。

自分が書いた文章がわかりにくいということに気づかないこともあるので、わかりやすい文章の例文集などがあるとうれしいです。

写真:高島様と堤様
鳥栖市
  • (左)情報政策課 高島徹平 様
  • (右)市民協働推進課 堤達洋 様

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