導入事例:島根県様

外国人住民の約6割が行政サービスの情報源としてSNSを利用、タイムリーな情報をわかりやすく継続して発信していきたい

島根県 別ウィンドウで開きます では、2021年8月より県内の外国人住民向けに Facebook と Twitter でやさしい日本語を含めた多言語での情報発信を開始しました。多言語でのSNS投稿をサポートするシステムのやさしい日本語の部分において「伝えるウェブAPI」をご活用いただいています。

※伝えるウェブAPIとは、当サービス「伝えるウェブ」で利用している自社開発のやさしい日本語化エンジンを、外部のアプリケーションなどと連携して利用できる仕組みのことです。

今回は、島根県のやさしい日本語への取り組みや伝えるウェブの導入については島根県環境生活部文化国際課の伊藤様、開発されたシステムと伝えるウェブAPIについてはシステム構築を担当された株式会社イプシロンソフトウェア 別ウィンドウで開きます の渡部様にメールインタビューという形でご回答いただきました。

まずは、島根県のやさしい日本語への取り組みや伝えるウェブの導入について伺いました。

島根県としての外国人住民向け情報発信等について、現在の状況を教えてください。

島根県では、本県のホームページを日本語に加えて、英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・ベトナム語・タガログ語に自動翻訳し情報発信しています。
また、「しまね防災メール」では、地震・津波情報をはじめ気象注警報・土砂災害警戒情報・河川洪水予報・国民保護情報など、防災情報や緊急のお知らせを、日本語・やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・タガログ語で配信しています。

今年度より、県内の外国人住民向けにFacebook(やさしい日本語・英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・ベトナム語・タガログ語)とTwitter(やさしい日本語)での情報提供を始め、近年増加する外国人住民に、効果的に行政情報などを提供できるよう取り組んでいます。

やさしい日本語への取り組みを始めたきっかけを教えてください。

平成26年以降、島根県内の外国人住民が大幅に増加しました。
その出身が約70の国・地域となっていたことから、生活関連情報等を多言語により提供する必要が生じていました。

また、令和元年度に本県が市町村と共同で実施した外国人住民実態調査の結果によると、「簡単な日常会話や、ゆっくり話せば聞き取りはできる」とする者が約6割、「ひらがなまたはカタカナであれば読み書きできる」とする者が約8割を占め、外国人住民にとって、母語に加えてやさしい日本語での情報提供も有効であることが分かりました。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけは何でしたか?

先述の外国人住民実態調査において、外国人住民が行政サービスを利用するための情報源や、どのような方法だと情報を得やすいかを聞いたところ、「SNS(Facebook、Twitter など)」が共に約6割を占め、最も多い回答結果となりました。

このため、島根県では県内の外国人住民向けに、やさしい日本語を含めた多言語によるSNSでの情報提供を行いたいと考え、システム構築を検討していたところ、やさしい日本語の提供にあたっては「伝えるウェブ」があることを知りました。

「伝えるウェブ」導入を決めた理由を教えてください。

やさしい日本語への自動翻訳+ルビ振り機能を持つサービスであること、災害や行政用語の言い換えや適正な表現への修正が随時なされていること、また、他の自治体での導入実績があったことから島根県での導入を決めました。

なお、導入の検討にあたっては、オンラインミーティングをさせていただき、「伝えるウェブ」の機能や活用の仕方などを聞き、疑問点を解消することができました。

SNSによる外国人住民向けの情報発信について、体制や運用はどのようにされていますか?

現在、本県では(公財)しまね国際センターと連携し、SNSでのやさしい日本語による情報提供や、「やさしい日本語」出前講座の実施など、やさしい日本語の普及・啓発に取り組んでいます。

公益財団法人 しまね国際センター
https://www.sic-info.org/ 別ウィンドウで開きます

同センターに、多言語によるワンストップ型の相談窓口を設置しており、そこに寄せられる相談内容をもとに、外国人住民に求められるタイムリーな情報をSNS(Facebook 別ウィンドウで開きます Twitter 別ウィンドウで開きます )を活用して提供しています。

しまね多文化共生 (たぶんかきょうせい) 総合 (そうごう) 相談 (そうだん) ワンストップセンターによくある相談 (そうだん) を紹介 (しょうかい) します ○相談 (そうだん) 来月 (らいげつ) 国 (くに) に帰 (かえ)...

しまね多文化共生総合相談ワンストップセンターさんの投稿 2021年11月7日日曜日

SNSによる外国人住民向けのやさしい日本語での情報発信について、現状での課題などはありますか?

まず、情報を届けたい県内の外国人住民に、島根県と(公財)しまね国際センターが行っているSNSによる情報発信を知ってもらうことが必要です。やさしい日本語を活用し、できるだけ多くの外国人住民に分かりやすく、そして継続して情報を発信していきたいと考えています。

しまね多文化共生総合相談ワンストップセンターのFacebook
しまね多文化共生総合相談ワンストップセンターのTwitter
島根県
  • 環境生活部 文化国際課 伊藤様

開発を担当されました株式会社イプシロンソフトウェア様には、システムの概要と「伝えるウェブAPI」について伺いました。

開発されたシステムはどのようなものでしょうか?

島根県様からの依頼により、日本語のテキストをやさしい日本語含む多言語に翻訳・変換するシステムを開発しました。やさしい日本語への翻訳について調査していたところ「伝えるウェブ」に出会い、導入の検討に至りました。

「伝えるウェブAPI」はどのような仕組みで利用されているのでしょうか?

ユーザーが元になる日本語テキストを入力すると、弊社が開発したサーバーとバックグラウンド通信を行います。そのサーバーと「伝えるウェブAPI」サーバーがサーバー間通信を行うことで元のテキストが「やさしい日本語」に変換され、ユーザーはリアルタイムに結果を受け取ることができます。
つまり、SNS に投稿したい文章を入力すると、「伝えるウェブAPI」を通じて「やさしい日本語」に変換されるので、それを確認・調整してから SNS に投稿するという仕組みです。

「伝えるウェブAPI」の良い点、悪い点などありましたら教えてください。

API の仕様がシンプルで分かりやすく、作業を開始してから一時間もかからずに導入することができました。非常にスムーズだったと思います。サーバーのレスポンスも素早く快適でした。

「伝えるウェブAPI」に対する改善点・要望がありましたら教えてください。

導入を検討した時点(2020年末)では 伝えるウェブAPI に関する技術的な仕様についての情報がインターネット上になく、本当に使えるものかどうかがすぐに分からなかった点は導入を迷ったポイントでした。問い合わせを行ったところ、契約から技術的な仕様に至るまで親切に対応いただき、最終的には契約に至ることができましたが、そのあたりの情報が最初から公開されていると検討がしやすかったかと感じています。

※伝えるウェブ担当より
伝えるウェブAPI に関する情報が公開されておらず、お手数をおかけしました。今後、何らかの形で情報を掲載できるよう検討いたします。

株式会社イプシロンソフトウェア
  • 代表取締役 渡部様