導入事例:岩手県一関市様

市に住んでいる外国人の方の属性を考えて情報発信をするには…となったときに見つけたのが「伝えるウェブ」でした

岩手県一関市別ウィンドウで開きますは、岩手県の最南端に位置し、東北地方の中央に位置していることから交通アクセス・観光の要点として発展しています。

2024年4月から市のホームページに「伝えるウェブ」を導入いただいています。

今回は、政策企画課DX推進係の菅原様、広聴広報課広聴広報係の藤野様にお話を伺いました。

一関市役所トップページ

一関市が「やさしい日本語」の取り組みを始めたきっかけを教えてください。

サービスを検討した当時、一関市役所では「外国人支援本部」という組織が立ち上がりました。一関市には外国人市民等が約1%いらっしゃるのですが、今後も外国人市民等はますます増えてくるだろうということで、各部署で何か取り組みをしていこうというのが組織発足のきっかけでした。

当時、一関市に住んでいる外国人市民等の国籍で1番多かったのがフィリピンでした。次にベトナム、中国、インドネシアとなっており、みなさんの国は英語圏ではありませんでした。どこの自治体のホームページを見ていても、おおよそ英語の翻訳ができるようになっていますが、他の言語の翻訳があまりないことにホームページの担当者として疑問を抱きました。

技能実習生の仕組みで一関市にいらっしゃる外国人も多く、ほとんどの方が来日前に日本語を少し勉強してきており、単語を少し知っているという方が多いです。市のホームページは生活や暮らしのための情報を提供しているので、このような国籍や背景を持つ外国人市民等の方々に、生活に関する情報を説明するにはどうしたらよいかと考えました。このときに、庁内で相談して見つけたのが「やさしい日本語」の翻訳に特化した「伝えるウェブ」でした。

市役所の窓口にいらっしゃる外国人市民等の方は、主にどのような用件でいらっしゃるのでしょうか。

特に外国人だから用件が異なるということはなく、日本人と同じように生活に関連した届出のためにいらっしゃる方がほとんどです。例えば、市営住宅などの入居相談といったものもあります。そういった場合では、不動産屋で行われるような契約のお話をすることもあります。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけや導入を決めた理由を教えてください。

「伝えるウェブ」を知ったきっかけそのものは、サービスを検索していて一番初めに出てきたということだったと記憶しています。自治体向けの無料トライアルの期間があったので、年度の途中に試用しながら導入の検討を進めました。

最初にZoomで担当スタッフの方と打ち合わせをした時に、「伝えるウェブ」は元国語教師の担当者を中心にチームのみなさんが自力で辞書の単語登録をしていることを知りました。それを知ってサービスに好感が持てました。

無料トライアルでは「伝えるウェブ」の翻訳性能について、一定程度の精度が確保されているということが確認できました。また、サービスの導入のしやすさと導入後の手間の少なさを体験することもできました。当時、岩手県ではまだサービスの導入事例が少ない中でしたが、これらが決め手になり、導入を決めました。

無料キャンペーンで事前にお試しいただいたとのことでしたが、実際の導入はスムーズでしたか。

とてもスムーズに導入できたと思っています。導入する前は、より細かい設定が必要にならないか不安でしたが、実際には実装に必要な埋め込み用のコードも提供いただき、ホームページに埋め込むだけで、いろいろなところに影響せずに動く仕様になっていたので安心しました。

「伝えるウェブ」を利用した「やさしい日本語」での情報発信について、体制や運用はどのようにされていますか。

「伝えるウェブ」には、ウェブサイトを「やさしい日本語」に自動変換するサービスと「やさしい日本語」の文章作成を支援するエディタ機能のサービスがありますが、一関市でおもに利用しているのは前者です。

職員には外国人支援本部の研修のときに、「伝えるウェブ」を市のホームページに導入したことを紹介しました。外国人市民等の方に市民生活情報を伝えるときは、「スマートフォンで母語に翻訳してください」と案内しているのですが、行政文書の日本語は難しいため、元の文を「やさしい日本語」に一度変換したうえで多言語翻訳するように案内しています。これをすると翻訳の精度が高くなると感じているので、職員には、「やさしい日本語」にしてからGoogle翻訳などで多言語翻訳することを習慣化するといいとアドバイスをしています。

市民向けには、プレスリリースで「伝えるウェブ」の導入をPRし、地元の新聞社である岩手日日新聞社さんの紙面にも取り上げていただきました。

一関市役所のホームページを「伝えるウェブ」で自動変換したページ緊急災害情報の「やさしい日本語」変換結果

「やさしい日本語」での情報発信についての反響はいかがでしょうか。

外国人市民等の方からの直接の声というのはないのですが、サービスの利用状況については一定程度ずっと使われ続けていることを確認しています。「伝えるウェブ」は、管理画面からAPIコール数が確認できるので、こちらを確認したところ、1日あたりの件数としては導入からある程度継続して一定の利用があることが確認できており、ホームページの内容を「やさしい日本語」に変換している方が一定数いらっしゃると思っています。外国人市民等の方向けに導入をしたのですが、行政文書の表現がわかりづらいなと感じている日本人の方にも使われている可能性があると分析しているところです。

他の自治体に「伝えるウェブ」をすすめていただくなら、どんな点をすすめますか。

「伝えるウェブ」は、導入後のシステム管理の手間がほとんどありません。システムを維持するためのメンテナンスに手間がかかるものについては、自治体は導入を見送ることが多いと思うので、そういった点で苦労がないことはアピールできると思います。カスタム辞書やエディタ機能など「伝えるウェブ」にはいろいろな機能がありますが、人名や地名のルビなどを登録してしまえば、最低限の運用が始められることは、自治体職員としてはありがたいです。

「伝えるウェブ」の改善点・要望等がありましたら教えてください。

最初のほうでも少しお話ししましたが、一関市には外国人市民等の支援業務に携わる職員がいます。職員には日頃から、「やさしい日本語」に一度変換してから住民の方の使用言語に機械翻訳する習慣をつけるようアドバイスをしています。そういった点で考えると「伝えるウェブ」1つで「やさしい日本語」から外国語に自動変換するところまでが一度にできると便利だなと思います。

「伝えるウェブ」のエディタ機能にはレベル別の要約の機能もあると思います。そこから考えたことですが「やさしい日本語」の情報発信そのものにも受け手のレベルに応じた表現のしかたがあるといいなと思います。例えば、外国人市民等への情報発信といっても、日本語学習が初心者の外国人の方に伝えるレベルと、ある程度日本語がわかる人に伝えるレベルは変わってくるでしょうし、市の情報を小学生に伝えるための「やさしい日本語」のレベルも必要なのかなと感じます。「やさしい日本語」にもさまざまな表現のレベルがあれば、今よりもより洗練された「やさしい日本語」になると思っています。

写真:菅原様と藤野様

 

一関市
  • 政策企画課DX推進係 菅原様(写真右)
  • 広聴広報課広聴広報係 藤野様(写真左)

※Zoomは、Zoom Video Communications, Inc.の米国および日本を含むその他の国における商標または登録商標です。