東京都福生市別ウィンドウで開きます は、東京都の西側の多摩エリアに位置する市です。行政面積の3分の1が横田基地、住民の6%ほどが外国人という特徴があります。 しかし、基地の関係の方やアメリカ国籍の方が、特別多いわけではありません。英語圏以外の、ベトナム、ネパール、フィリピン、ペルーなどの出身者が多く居住しています。また市内に日本語学校が4校あり、留学生も多いです。
2021年5月より、福生市役所のホームページに「伝えるウェブ」を導入いただいています。
今回は、福生市のやさしい日本語の取り組みや「伝えるウェブ」導入について、企画調整課の寺町様と秘書広報課の根津様に、Zoomを利用してお話を伺いました。
平成20年ごろに「外国人のための生活便利帳」という生活ガイドを作ったのですが、こちらをやさしい日本語にしたのが最初です。
職員向けに多文化共生の講演会なども開催しているのですが、平成28年ごろからテーマを「やさしい日本語」に関するものにして、職員間の周知をしてきました。
「やさしい日本語への言い換え」について、検索していて知りました。文章をやさしい日本語へ書き換えるためには、分かち書き・一文を短くするなどテクニックが必要です。やさしい日本語を使いやすいものにするために、できることはないか?と課題に感じていました。「伝えるウェブ」を見つけたときは「こんなにすごいものがあるのか」と思ってお問い合わせしました。
既存のツールの中には「この言葉は難しい」と教えることで、書き換えを助けるものがあります。ですが、実際にそれをどう書き換えたらよいのかという「言い換えの提案」の部分をやってくれるものは「伝えるウェブ」の他に無かったので、そこが一番大きなポイントでした。
大きな反応があるわけではありませんが、市役所ホームページにある英語の自動翻訳と、「伝えるウェブ」の利用数(APIコール数)が同じくらいの数字なので、やさしい日本語のニーズはあると考えています。
体制としては、福生市では企画調整課が多文化共生事業を担当しているため、「伝えるウェブ」を見つけて、導入を進めたのは企画調整課でした。今年は試験的な導入として企画調整課で担当しましたが、令和4年度からは本格導入となるので、ホームページ管理を担当する秘書広報課が管理していく予定です。
実際の運用にあたっては、やさしい日本語に限った話ではありませんが、例えば健康情報なら健康課に変換した文章のチェックを依頼するなど、それぞれの担当に確認することは心がけています。
市の広報紙「広報ふっさ」で、コロナウイルス関連の情報発信をしています。そこで、「やさしい日本語エディタ」が役に立ちました。やさしい日本語のページを作成する際に「どう言い換えて良いかわからない」という時があります。エディタはやさしい日本語の言い換え結果を出してくれるので便利ですし、参考になっています。
また、災害の時にも役に立つと思っています。2019年に、大型の台風19号が来ました。その時はやさしい日本語で災害情報を発信しましたが、まだ「伝えるウェブ」が無い時だったので、完全に自力の手作業でやさしい日本語を書いて情報発信をする、という経験もしました。
ふりがながたまに気になることはありますが、そこまで大きな間違いなどは生じていません。
「やさしい日本語エディタ」を使う時は、書き換えを自動でやってもらい、あとから手作業で微調整、という手順にしているので問題はないです。
また、元の文章の質によって変換の精度が上がると感じていますので、変換元の文章の方を良くするという方法を取ることもあります。
固有名詞のふりがなの精度が上がると助かります。辞書機能で登録できるとは知っていますが、現在あまり使えていないので、今後活用していきたいと思っています。
また、ネット環境だけではなくLGWAN(総合行政ネットワーク)の中でもエディタが使えると非常にありがたいと感じます。
市役所の中でも、もっと「やさしい日本語」を使ってほしいと考えています。研修やガイドラインなどを用いて庁内への情報提供をしているので「何となく知っている」という職員は多いようなのですが、他の部署などで「やさしい日本語」を見ることはまだまだ少ないです。「何がネックになっていて使えていないのか?」という部分を知り、使ってもらえるようにしていけたら、と感じています。
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